マドレーヌもフィナンシェも、フランスの伝統的なお菓子。どこのお菓子屋さんにも必ず置いてある定番の小さな焼き菓子です。いつ食べてもおいしいものですが、時代に合わせて緩やかに変化しつつもあります。近ごろのパリではクリームやガナッシュが入ったマドレーヌが大人気。パティスリーではスペシャリテとして好評を博し、話題のマドレーヌ専門店でももちろんラインナップされています。マドレーヌのふわふわとした生地に、なめらかなクリームやガナッシュが絡み合って、幸福感あふれるリッチなお菓子になりました。フィナンシェでは「フィナンシェ・デセール」と呼ばれるケーキのようなアレンジが人気です。クリームやフルーツをデコレーションして、器に盛れば、これはもう立派なデザート!ちゃんとした夕食の前にお酒を飲む「apero」という習慣がフランスにはありますが、その際につまむものとして、塩味のマドレーヌやフィナンシェも人気です。サイズ感がちょうどよく、アレンジのしがいもあるからでしょう。伝統的なお菓子がずっと愛され続けて、こうして今なお斬新なアレンジが生まれてくるのは、とても素敵なことです。お菓子の歴史を思いながら、新たな魅力をおいしく味わってください。『作者介紹』菖本 幸子(ショウモト サチコ)菓子研究家、フードコーディネーター。ル・コルドン・ブルー パリ校にてパティスリーコースを修了ののち、「ル・ブリストル・パリ」にてジル・マルシャル氏、ファブリス・ル・ブルダ氏のもとで研修。その後、パリで最古のパティスリーといわれる「ストーレー」などでの研修を経て帰国。製菓教室の講師などを務めたのち、2005年に独立して現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)