つたえて、あのひとに……やまのうえに1だいのでんわがおいてあります。きょうもだれかがやってきました。せんのつなっがていないそのでんわではなしをするために。**********岩手県大槌町の佐々木格さん(ガーデンデザイナー)が、自宅の庭に「風の電話ボックス」をおきました。「会えなくなった人へ伝えたい……」ひとりきりになって、電話をかけるように相手に想いを伝える空間で、実際の電話線はつながっていません。電話機のよこには、こう書かれています。風の電話は心で話します静かに目を閉じ耳を澄ましてください風の音が又は浪の音が或いは小鳥のさえずりが聞こえてきたならあなたの想いを伝えて下さい佐々木さんが震災前から考えていたものだそうですが、心の復興のきっかけになればと思い、実現させたそうです。「あまりにも突然、多くの命が奪われた。せめてひとこと、最後に話がしたかった人がたくさんいるはず。そして今回の震災だけでなく、会えなくなった人につたえたい想いを持っている人は多いと思います。どなたでもいらしてください」**********この絵本は、この「風の電話」をもとに作られたものです。『作者介紹』いもと ようこ(イモト ヨウコ)兵庫県生まれ。金沢美術工芸大学油画科卒業。『ねこのえほん』『そばのはなさいたひ』でボローニャ国際児童図書展エルバ賞を2年連続受賞。『いもとようこうたの絵本1』で同グラフィック賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)